「本当にやりたいことで稼いでいきたい」という想いを否定するもの(2)

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子どもの頃の私

 

父はギャンブルやお酒で稼いだお金を家にほとんど入れない人だった。

だから毎晩毎晩ケンカばかりだった。

 

(・・・そう・・・子どもの頃から、お金の話ばかり聞かされていた・・・。)

 

 

 

まだ小学校2年生の秋の出来事だった。

珍しく父が家にいて、

弟と千葉公園に連れて行ってくれた。

帰ると

〈 しばらく家を留守にします 〉という手紙を残して、

母は家を出て行った。

 

すぐに、二階に駆け上がり、

辞書で「しばらく」という言葉の意味を調べた。

でも、そこに書いてあったように

「数日」で母は帰っては来なかった。

 

 

「捨てられたんだ・・・」と思った。

 

家の前には、父方のとても厳しい祖父が住んでいたので、

弟と「いい子」でいるようにした。

 

ただ、母がいる時は許されなかった駄菓子屋さんに、

こっそり行けたのはとっても嬉しくて、

今でもあの駄菓子屋さんの匂いが、脳裏に残っている。

 

 

半年くらいしてから、いきなり、東京の母の実家に弟と引き渡され、

学校も転校し、

私は東京の母の実家で、母と弟と祖母と叔母と一緒に

暮らすようになった。

 

その後、父が追いかけてきた。

でも、やっぱり父はまともに働かなかったから

毎晩ケンカが続いた。

 

 

もうケンカを聞くのが嫌で、

父を殺そうと思い、夜中、夫婦喧嘩の最中に、

包丁を取りに台所に行ったけど、

床のきしむ音で止めた・・・。

 

 

もうケンカを聞くのが本当に嫌だった・・・。

 

 

 

結局、母は銀座でホステスをするようになった。

 

父は宝石商だったため、

家にはいつもきれいな宝石があり、

それを昼間、母は、知り合いに売ることで

足りない分、稼いでくれたようだった。

 

 

 

世の中といえば、まさに高度成長期。

まるでアダルトチルドレンのように、

アメリカを真似て、アメリカに従うことで

日本はそれまでの個性を捨て、

大人へと成長していくような・・・

 

そんな時代だった。

 

 

いい学校、いい会社・・・に入ることが「幸福行き」列車に乗るための

欠かすことが出来ない「切符」のように思われていたし、

親の言うことを聞かないでいることなんて許されなかった。

 

 

だから、五人姉妹だった母は、

紛れもなく姉妹間の「子どもたちの出世競争」を繰り広げていった。

 

 

 

昼間、教育ママを装う母は、

90点以下の成績を持ち帰ると、布団たたきやスリッパで叩かれ、

長い髪はわしづかみにされた。

だから、90点以下を取ってしまった時は、本当に怖くて帰れなかった。

 

(きっと、父のことや親戚のいろいろで、

イライラしていたのかもしれないけど、

今だったら、虐待だよね・・・躾という名の虐待・・・)

 

 

夏休みの宿題の、絵画も家庭科も すべて母の作品で、

私には最初のちょこっとしか、

触らせてもらうことはできなかった。

 

小学校3年生の時に書いた

『ギリシャ神話』の読書感想文が学校で選ばれ、

校長先生から表彰状を頂いた時は、

初めて自力で貰ったものだと信じていて、とっても嬉しかったのに、

大人になってから

「あれも、私が手直しをしたからよ」

と嘲笑されたのには愕然とした。

 

(これでは自分を信頼したり、自己肯定感など養えるはずもない・・・)

 

 

夜は銀座のママを装い、

和服に着替えて、出かけていった。

 

祖母と弟と留守番を任された私は、

毎晩毎晩、夜中に帰ってくるタクシーの扉の音をひたすら待っていた。

 

お酒が一滴も飲めない母が

私達兄弟を育てるために、必死だったのかもしれない。

 

 

父の稼ぎは全く当てにならなかったし、

それを罵る母方の親戚から、

なんとか父がまともに働くように説得するよう

仰せつかったこともあった。

 

 

でも、どんなに働かなくても、

どんなにギャンブルが好きでも、

どんなにお酒が好きでも、

 

私にとっては世界でたった一人の

最愛の父だったし、

最憎の父だった。

 

たまに帰ってきたときに、

父のタバコをふかす姿が、本当にステキだった。

 

 

こうして、子どもの頃から、

「お金」は争いの元。醜いもの。・・・という観念が創られる一方、

 

私は母に叱られないように・・・

両親を取り囲む人間模様が 少しでも穏便であるように・・・

家族が壊れないように・・・と・・・

 

私が私として存在すること。

私が私として存在する意味のような、価値のようなものを

少しずつ失くしていったのかもしれない。

 

(長くなるので、また今度・・・)

投稿者プロフィール

MOTHERS NET
*個性豊かな4人の子どもと夫との、ステップファミリーです。

離婚、子連れ再婚やいじめ問題、不登校、両親の死などの
経験のそのすべては、本当の自分に還るための、より豊かに幸せに生きるための贈り物であったことに、あとから気づかされ、

これからは、「本当の自分」を大切にし、魂がワクワク喜ぶ人生にシフトチェンジして、

絵本や絵やポストカードなどを創作しています。

それは、心の扉を開いたとき、

「本当の自分」を大切に守ることができる「宝石箱」。

それが、この地球に生まれてきてくれた子どもたちが、贈ってくれている
なによりものメッセージではないかと思うからです。

日々の、その一瞬の色や光を ゆっくり味わい感じ入ること。
そんな自分を大切に信じること。
出会った家族や友人、恩師、知人とともに創造する人生を尊重し合うこと。
をモットーにブログを綴っています。


*自分の原点ともいえる、親との関係を振り返ったとき、弱い自分を認めて受け容れたとき、ました。

*このブログでは、子育てやパートナーシップや仕事に挫折した私が、
自分の人生を振り返り、本当の自分に還って、私の感性を取り戻し、私が最も大切にしたいことや夢や生きたかった人生を創造していくさまをそのまま綴っています。

*色や光で自分を解放しながら、自分自身と向き合い、私が好きな世界観を表現し、森羅万象の一部として、静かに命を味わい尽くしたいと思っています。












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